第50回日本理学療法学術大会

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合同シンポジウム

日本静脈経腸栄養学会 合同シンポジウム5

チーム医療としての栄養管理

Sat. Jun 6, 2015 12:30 PM - 2:20 PM 第4会場 (ホールB7(2))

座長:吉田剛(高崎健康福祉大学 保健医療学部理学療法学科)

[TS-10-4] 理学療法士の役割

高橋浩平 (田村外科病院リハビリテーション科)

2010年に日本静脈経腸栄養学会が認定するNST(Nutritional Support Team)専門療法士の資格対象に理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,歯科衛生士が新たに加わった。栄養管理において理学療法士もチーム医療として関わることが求められている。また,安全かつ効果的にリハビリテーション(以下,リハ)を実施するために理学療法士にも基本的な栄養の知識は必要である。
低栄養状態での過度な運動は筋蛋白分解を助長し,身体機能が悪化する可能性がある。そのため栄養状態をバイタルサインの一つと考え,栄養評価・管理を併用していくことが重要である。特に食事摂取量低下と体重減少を伴えば,低栄養の可能性が高い。理学療法実施時には食事摂取量と体重は最低限確認する必要がある。他にも栄養評価では,エネルギー消費量の推定,筋肉量・筋力・脂肪量(率)などの身体評価,生化学的検査,ADL能力をQOLも含めて総合的に行うことが薦められている。つまり理学療法士が専門としている身体機能評価はそのまま栄養評価としても有用となる。リハでの消費量も栄養管理において大事な情報となるため,これらを他職種と協同して評価を進めることで栄養管理がより有効となる。
また食事摂取量が低下した症例に対し,理学療法士が貢献できることもある。例えば,嚥下障害や呼吸障害,姿勢や環境の問題などが食事摂取量低下に関わっていることがある。これらが原因の場合,嚥下リハ,呼吸リハ,姿勢・環境調整などにより改善を図る。慢性疾患に伴う低栄養(悪液質)では,炎症が食欲低下の原因であることが示唆されている。運動には抗炎症作用があるため,運動療法を実施することで食欲が改善する可能性がある。
栄養管理に身体機能評価と運動療法は欠かせない。チーム医療として栄養管理に関わる上で理学療法士の役割は大きく,専門性を活かせることも多い。今後,栄養管理に積極的に参画する理学療法士が増えることが望まれる。