[TS-14-1] 動物の姿勢と歩様からみる疾患
近年日本の獣医学領域では神経疾患・整形外科疾患を中心に理学療法リハビリテーションの重要性が認識され,患者動物と飼い主はより高品質なケアを手にすることができるようになった。これは人医療からの情報提供と領域を超えた交流の賜物である。しかし人と犬とは基本的に同じ構造を持つものの使われ方が異なることから,リハビリテーションに参加する者が互いにその違いを知り理解する事から全てが始まった。
犬は正常な姿勢として四肢での起立を示し,胸椎から骨盤にかけてほぼ水平な背線を観察することができる。四肢に異常がある犬は背線を丸めるような姿勢を示すことがある。同様に前肢後肢のどちらか1側に異常があると正常肢は正中に移動して片足に体重をかけるようになる。その場合尾は正常肢側に来る。歩行は4ビートで常に3本の足が着地しており,右後肢・右前肢・左後肢・左前肢の順に足を上げて前に進んで行く。歩行の異常は負重の低下や歩幅の減少からも推測される。側方から観察すると,前肢は指端と肩甲上腕関節を結ぶ線が地面に対し垂直で,肩甲骨の肩甲棘の線がおよそ30度の角度で交わっている。前肢に異常があるとこの角度が小さくなる傾向がある。後肢趾端は坐骨結節よりも後方にあることが基本である。足根関節が機能しているとアキレス腱と踵骨が尾側に突き出し趾端が頭側に下がって接地する。アキレス腱の付着した踵骨が脛骨と並行に近づく立位は異常である。また正中矢状面での観察から片足を正中近くに置く,足を浮かせる,尾を左右どちらかに傾けている場合も異常のサインである。歩行させると首を上下に振る・足をあげるなど背断面での異常に気がつくことができる。矢状面での観察から左右の筋量を確認する。腰を左右に振るような歩き方をすることがあり,これらも異常を示すサインである。
基本的動作の理解は,動物リハビリテーションに参加する全ての者に求められる重要なスキルである。
犬は正常な姿勢として四肢での起立を示し,胸椎から骨盤にかけてほぼ水平な背線を観察することができる。四肢に異常がある犬は背線を丸めるような姿勢を示すことがある。同様に前肢後肢のどちらか1側に異常があると正常肢は正中に移動して片足に体重をかけるようになる。その場合尾は正常肢側に来る。歩行は4ビートで常に3本の足が着地しており,右後肢・右前肢・左後肢・左前肢の順に足を上げて前に進んで行く。歩行の異常は負重の低下や歩幅の減少からも推測される。側方から観察すると,前肢は指端と肩甲上腕関節を結ぶ線が地面に対し垂直で,肩甲骨の肩甲棘の線がおよそ30度の角度で交わっている。前肢に異常があるとこの角度が小さくなる傾向がある。後肢趾端は坐骨結節よりも後方にあることが基本である。足根関節が機能しているとアキレス腱と踵骨が尾側に突き出し趾端が頭側に下がって接地する。アキレス腱の付着した踵骨が脛骨と並行に近づく立位は異常である。また正中矢状面での観察から片足を正中近くに置く,足を浮かせる,尾を左右どちらかに傾けている場合も異常のサインである。歩行させると首を上下に振る・足をあげるなど背断面での異常に気がつくことができる。矢状面での観察から左右の筋量を確認する。腰を左右に振るような歩き方をすることがあり,これらも異常を示すサインである。
基本的動作の理解は,動物リハビリテーションに参加する全ての者に求められる重要なスキルである。