第50回日本理学療法学術大会

講演情報

大会シンポジウム

大会シンポジウム12

理学療法の未来 クロージングシンポジウム―これからの理学療法の可能性への挑戦―

2015年6月7日(日) 15:20 〜 16:40 第2会場 (ホールC)

座長:長澤弘(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部リハビリテーション学科), 山田千鶴子(専門学校社会医学技術学院 理学療法学科)

[TS-19-2] 精神心理領域と女性理学療法士、2つの立場から

上薗紗映 (平川病院リハビリテーション科)

1.精神心理領域
本邦の全病床数の20%は精神科病床であり、精神疾患は近年5大疾病にも制定され、高齢化、複雑化、多様化する日本社会の中で非常に重要な視点の一つになりつつある。そこには予防や改善について医療福祉の力が求められている。その中で、精神科病院の高齢化している長期入院患者や、自殺未遂者が負う身体合併症、認知症などのある高齢者の大腿骨頚部骨折など、理学療法士の力が求められる場面は多くなってきている。また、2014年の診療報酬改定に伴い、認知症リハが新設されたことも、リハビリ職種に対する期待度を示していると解釈できる。しかし、まだバリアンスデータとして取り扱われることが多く、アウトカムについては明確に証明されているとは言えない。この部分に関して、10年取り組んできた内容と成果について報告し、未来に向けての可能性を示したい。
2.女性理学療法士の役割
現在、女性の社会進出に合わせて働き方も多様化してきている。一方で、制度はあっても、妊娠中や子育て中の女性理学療法士は、結果としてキャリアに空白を生んだり、働き方を変更する必要性が出るなど、働き続けることが難しくなる場面もあると思われる。しかし、職場によってはその休み中に人員補填をすることが出来ない場合もあり、サポートするスタッフの負担感も増えやすい。そういった面で、一つの職場だけを見た時にそのお互いの負担感を完全に解決することは難しいかもしれない。ダイバーシティの考え方を理学療法業界に持ち込むことは、特に病院勤務の場合は難しい面もあるが、パラダイムシフトも必要な時期を迎えていると考えている。演者は理学療法士であり、一部署の管理者であり、妻であり、乳幼児の母である。経験の中から、誰もが働きやすい職場とは、そのライフイベントや個人の能力などにより多様な働き方を受容する雰囲気づくりがまず必要で、その上で制度設計をしていく必要性があると考えている。