第50回日本理学療法学術大会

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ワークショップ

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学会版徒手筋力検査法の開発と関節可動域評価指針の作成に関する中間報告

Fri. Jun 5, 2015 10:10 AM - 12:00 PM 第6会場 (ホールD7)

座長:藤澤宏幸(東北文化学園大学 医療福祉学部リハビリテーション学科)

[W-01-4] 測定精度の改善に向けて

山崎弘嗣 (昭和大学保健医療学部理学療法学科)

測定(観察)が可能なものとして私たちは対象(現象)を知っている。それが自然科学的な態度である。理学療法において評価法はアルファとオメガ、評価(検査測定)実習は養成課程の初歩にあり、臨床の日常業務として検査測定が行われる。『評価に始まり評価に終わる』ほど、測定と対象を大事にしている。ただし、ここでは測定を行う「こちら」の程度に注目する。
何ら難しく考えることではない。測定がいいかげんであれば現象もいいかげんになる。確かな判断は精確な測定のうえにある。いいかえると、私たちは完成度を高めるために、その計測法によって混入する誤差はどの程度か(測定精度)を考える。いや、考えるのではなく知るのである。「こちら」の測定精度を知ってはじめて、考える内容もしっかりする。信頼性である。測定対象から測定精度へ。
日常レベルの測定精度を知り改善する作業は案外に地味である。測定方法と回数の工夫をし、級内相関係数や測定の標準誤差、最小可検変化量を計算する。関節可動域と筋力の、このありふれた二つから始めてみる。適当なハンドヘルドダイナモメータ、ゴニオメータを仕様(使用)して測り、表計算ソフトに計算してもらい、その測定技術の精度を理解する。そのうえで技術は改善できる。そして問うてみる。実習生と一緒に、例えば肩関節外旋の角度が5度変化した。『変化したと信じられるか。』地味だがとても深遠な、日常診療の「現象学的」世界になる。
どれくらいの精度の測定技術を身につけていればいいか。感度や特異度もある。これまでの評価法をどう超えるか。これはプロとしての技術研鑽を支えるキーワードの一つになるかどうか。私たちが共通に意味のあるものとして運動現象を認識するための、測定精度の改善に多くの関心が向けられている。