第50回日本理学療法学術大会

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ヤングインパクトプレゼンテーション

ヤングインパクトプレゼンテーション3

Fri. Jun 5, 2015 3:00 PM - 4:00 PM 第6会場 (ホールD7)

座長:金谷さとみ(菅間記念病院)

[Y-03] 地域における高齢者機能健診からの理学療法へのメッセージと地域資源の活性を促進する新たな展開

牧迫飛雄馬 (国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター生活機能賦活研究部自立能力開発研究室)

高齢期では虚弱(フレイル)や転倒,認知機能低下などの老年症候群による生活機能低下が懸念され,早期から予防の取組が重要となる。しかし,客観的な実測値を含む情報から心身機能低下のサインを早期に把握して積極的に予防する取組は体系化が十分とは言い難い。
これらを背景に我々は行政と協働で高齢者機能健診を地域で実施し,1万人を超える運動および認知機能の実測値を含むデータベースを構築し,要介護や疾病の発症などの追跡も進めている。それらの分析では,要介護認定を受けていない高齢者の約10%がフレイルに該当し,約20%で軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)を認めた。フレイルやMCI高齢者は要介護発生リスクが高く,うつ徴候も生じやすいことが示唆された。また,機能健診からMCI高齢者を選定して,運動による脳機能低下の抑制効果をランダム化比較試験で明らかとしてきた。
これらの知見は,心身機能低下の予防に寄与を図る理学療法領域にとって重要なメッセージを含む。しかし,限られた人材(行政や専門職者)での枠組みでは,幅広い層に対する成果の期待が高いとは言い難い。そのため,人的・物的な地域資源の活性による社会全体(コミュニティ)としての推進が必要と考える。人的資源として,地域で健康増進活動を支援するサポーターを養成し,地域での実践者としてコミュニティ活性化に一役を担ってもらう活動を展開している。また,行政主導の運動教室や少数の自主活動のみならず,フィットネスクラブの参画や養成サポーターによる予防活動の実践,さらには既に地域展開されている文化的・知的活動を活用して,その活動状況をモニタリングし,それらが健康状態の変化にどのような寄与があるかを明示していく必要があろう。これらの地域での一連の研究を紹介し,理学療法からのどのような視点が有益となりうるかについて話題を提供する。