第50回日本理学療法学術大会

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ヤングインパクトプレゼンテーション

ヤングインパクトプレゼンテーション5

Fri. Jun 5, 2015 6:40 PM - 7:40 PM 第12会場 (ガラス棟 G701)

座長:小林量作(新潟医療福祉大学)

[Y-05-2] 脳卒中リハビリテーションの臨床評価

急性期の予後予測から回復期の歩行自立度評価およびQOLを含めた心理・精神的,社会的状態の評価まで

北地雄 (総合東京病院リハビリテーション科)

厚生労働省の報告によると,脳卒中は要介護状態となった原因疾患の第1位であり,年間医療費は1兆7691億円となっている。初発に限定しても,脳卒中は人口10万人に対し251人が発症しており,予防も重要であるが,回復を如何に促していくかも重要である。
現在,回復を促進させるエビデンスを持つアプローチはいくつかあるが,そもそも適切な評価を行い適応と適応外を見極めることが重要である。我々は進行中の研究も含め,これまでに①急性期および回復期入院時における予後予測,②回復期病棟における集中的なリハビリテーションを促進・阻害する因子である抑うつを含む心理面,Quality of Life,モチベーション,および社会的サポートの調査,さらに③介護認定の結果にも影響を及ぼす,歩行自立度の研究を行ってきた。以下,簡単に結果を記載する。
①急性期だけでなく,回復期も入院時のNIHSSにより転帰先を予測することができる。回復期では入院時のBIとFBSを用い,BIの改善度が予測可能である。②回復期における脳卒中後うつやアパシー,さらにはQOLやモチベーションに影響を及ぼす因子に加え,回復に対する社会的サポートの影響を明らかにした。これらの結果は,回復期における1日に最長で3時間にも及ぶリハビリテーションを実施し,継続していくための洞察を提供する。③回復期における歩行自立度の判断は,根拠をもって安全に活動範囲を拡げていくために必要であり,自立可否の判断は歩行速度やバランス能力以外にも,パフォーマンスの安定性や転倒恐怖感からも可能であることを明らかにした。
我々の研究は少数例が多く,エビデンスとしては弱いかもしれないが,先行研究からは妥当と考えられる結果である。そして何より特別な機器を用いた研究がなく臨床的であり,脳卒中の帰結に影響を及ぼす複数の要因について調べている。評価がなければ介入もできないため,これらの結果は重要であると考えている。