[Y-09-2] 脳刺激が身体に及ぼす影響と今後のリハビリテーションへの応用
近年,脳卒中後遺症,パーキンソン病などの中枢神経疾患患者に対して経頭蓋直流刺激(Transcranial Direct Current Stimulation:tDCS)や,経頭蓋反復磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)を用いたリハビリテーションの有効性が報告されている。その効果としては,麻痺側上肢の麻痺の改善,半側空間無視の改善,パーキンソン病の動作緩慢の改善など治療効果を示している。これは非侵襲的脳刺激を加えることで,脳活動を促通または抑制することが可能であり,半球間抑制の理論や脳内ネットワークに依拠した機能に関する変化が生じる。脳イメージングによって活動変化を可視化した報告,運動パフォーマンスの変化など,その効果は特に慢性期患者や軽度の麻痺症状での報告が多い。そのなかで我々は,回復期患者または重度麻痺における麻痺の改善効果について報告した。運動学的な分析を実施することで,細かな変化をとらえることができ,筋緊張の変化や動作戦略の変化を明らかにした。このように脳への非侵襲的な刺激の効果については,有効な報告は多いが患者への適応,強度,頻度など未だ十分に解明されていない。さらに,脳刺激後のリハビリテーションは集中的な理学療法や作業療法の併用が必要とされ,未だ有効的な確立された方法論はみられない。
今後,非侵襲的脳刺激による麻痺や高次脳機能,動作緩慢などの障害に対するアプローチは本邦でも拡大していく可能性がある。そこで,その治療後の患者に対する評価や治療方針など理学療法士として携わることが予測される。現在までの脳刺激に対する効果をまとめ,リハビリテーションへの応用に関して現在までの知見と今後の方向性について考えていきたい。
今後,非侵襲的脳刺激による麻痺や高次脳機能,動作緩慢などの障害に対するアプローチは本邦でも拡大していく可能性がある。そこで,その治療後の患者に対する評価や治療方針など理学療法士として携わることが予測される。現在までの脳刺激に対する効果をまとめ,リハビリテーションへの応用に関して現在までの知見と今後の方向性について考えていきたい。