第84回分析化学討論会

討論主題と依頼講演

討論主題(主題講演)

本討論会では以下の5件の討論主題を設定します。各主題ごとに依頼講演を設けると同時に,一般の参加者からも主題に関わる講演を募集します。ぜひ、依頼講演者とともに発表・討論に加わっていただきたく存じます。講演申込の際には,講演分類の選択のところで,討論主題名をお選びください。
なお、「文化財をはかる,なおす,まもる分析化学」と「宇宙と分析化学」の市民公開講演会は依頼講演者のみを対象として、別会場で一般市民に公開して行います。同主題の一般の主題講演については,参加登録者のみが聴講できる通常の会場で発表してもらいます。依頼講演者にも討論に参加していただくようにプログラムを編成する予定です。
 

1. 文化財をはかる,なおす,まもる分析化学
(市民公開講演会 19日(日)14時~16時)

オーガナイザー:辻幸一(大阪公立大),藤原学(龍谷大)
 
(趣旨)2024/2/29 更新
文化財を後世に引き継ぐことは大変重要であり、その保存(まもる)のためには、文化財を知り(はかる)、損傷があれば適正に修復(なおす)することが求められます。2023年には文化庁が京都に移転しました。そこで、この分野の最前線で活躍されている4名の先生を迎えて、「高松塚古墳壁画」、「キトラ古墳壁画」、「ベゼクリク石窟寺院仏教壁画」、「平等院鳳凰堂」、「日光東照宮陽明門」などの保存や修復に関する研究を通じて、分析化学がどのように文化財の保存に役立っているか、さらには「古代ガラス」の分析を通して紐解かれる歴史について、お話いただきます。

(依頼講演)
米村 祥央 文化庁 文化庁の京都への移転と分析化学会に望むこと
北野 信彦 龍谷大学 文化財の修復と分析化学の役割
阿部 善也 東京電機大学 文化財のX線分析からわかること
岡田 至弘 龍谷大学 文化財保存・展観に見る分析事例

2. 環境調和・資源循環型社会の創生と分析化学

オーガナイザー:布施泰朗(京工繊大),長谷川浩(金沢大)
 
(趣旨)4/19更新
グローバルな気候変動危機に対応するために,環境調和型あるいは資源循環型社会のあり方が喫緊の課題となっています。本主題では,大気環境,水環境,土壌環境,資源循環における分析化学の果たす役割について討論します。

 
(依頼講演)
水谷 聡 大阪公立大学 廃棄物・土壌分野における有害物質分析上の課題
眞塩 麻彩実 金沢大学 新規キレート樹脂を用いた環境試料中の
白金族元素分析
田中 周平 京都大学 PFOS, PFOAおよびその他のPFASをとりまく
国内外の現状と課題
浅川 大地 大阪市立
環境科学
研究センター
大気環境中における有機フッ素化合物の実態調査
大河内 博 早稲田大学 大気中マイクロプラスチックの実態解明と
健康影響評価:AMΦプロジェクトの ご紹介
早川 和秀 滋賀県琵琶湖
環境科学
研究センター
湖沼の気候変動影響の解明に向けた物質循環研究
霜鳥 孝一 国立環境研究所
琵琶湖分室
水圏の溶存有機物の分子サイズ分析
山口 保彦 滋賀県琵琶湖
環境科学
研究センター
分子サイズを鍵にして水圏溶存有機物の動態を
再考する

3.ものづくりを支える分析化学

オーガナイザー: 山本雅博(甲南大),駒谷慎太郎(堀場テクノサービス)

(趣旨)4/19更新
大阪,京都を中心としたものづくりに関連する企業研究者およびものづくり企業と連携している大学・研究機関の研究者との共同のセッションとして,分析化学の基盤技術と製品づくりの社会実装の間の連繋について議論を行います。


(依頼講演)
  星 大海 島津製作所 様々な分野で活用が進むLC-MS
~その具体的事例についてご紹介~
  駒谷 慎太郎 堀場テクノ
サービス
ラボ分析からインライン分析に活躍の場を広げる
分析化学
  鳥羽 真由子 サントリー
ホールディングス
分析化学技術を活用した食品企業の品質保証
  松木 崇 京都電子工業 様々な現場で活躍する容量分析
  磯尾 賢太郎 コベルコ科研 ものづくりの発展を支える分析会社の現在と将来
  渡辺 充 リガク 工業における蛍光X線分析の役割と信頼性の向上
  安部 武志 京都大学 蓄電池に関わる分析化学
  中西 和樹 名古屋大学 「ものりす」づくりと分析化学
~現象の解明から社会実装まで~
  木村 紫晃 招徳酒造 美酒を求めて~京都伏見の小さな酒蔵から

4.宇宙と分析化学
(市民公開講演会 18日(土)14時~16時)

オーガナイザー:村松康司(兵庫県大),大城敬人(大阪大)

(趣旨)
最近,「宇宙」が注目されています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心に多くの研究機関が協力して「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルを分析し,その結果が2023年に出そろいました。生命の起源に迫る大きな一歩です。また2022年は月探査元年と言われ,米国の「アルテミス計画」などこれからは人類が本格的に宇宙を開拓する時代に突入します。本講座では,生命の起源に迫る分析,はやぶさ2のサンプル分析,そして地球外文明の電波探査について第一線の研究者の方々に最先端のお話を講演していただきます。


(依頼講演)
上杉 健太朗 高輝度光科学
研究センター
SPring-8における小惑星試料の分析
小林 憲正 横浜国立大学/
東京工業大学
生命の起源と未来を宇宙に探る
鳴沢 真也 兵庫県立大学 電磁波の分析で探る地球外文明 SETIの話

5.生命の活動を知る分析化学

オーガナイザー: 井上久美(山梨大),長峯邦明(山形大)

(趣旨)4/19更新
近年の生命科学の発展は,生命の活動を知る分析手法の発展とともにあると言って過言ではありません。人間の活動や生理反応をモニタリングする一連の技術は,近年では身体的負担を伴わない非侵襲的センシング技術へと発展し,ポストコロナ時代の日常的な個別化予防医療を支えるデジタルヘルスの基盤技術として進化しています。更に,同様の技術はそのまま農業における農作物の管理・病害予防を支えるアグリテック,あるいは畜産業における家畜の管理・予防を支える家畜テックを指向したセンシング技術へと展開されつつあります。本シンポジウムでは,植物,人間を含む動物を対象とした分析法や分析結果を解析する研究を広く募集し,それにより,生命のような複雑系をひもとく分析化学について議論を深め,その役割を考えるきっかけとします。


(依頼講演)4/19更新
近藤 直 京都大学 動植物の蛍光分光・画像を利用した食料生産と環境保全
市橋 泰範 理化学研究所 マルチオミクス解析から農業デジタルツイン開発へ
長峯 邦明 山形大学 ウェット界面を利用した植物体内成分の
非破壊センシング法の開発
郭 媛元 東北大学 生体信号を計測可能にする多機能ファイバセンサの開発
大橋 啓之 株式会社
こころみ/
早稲田大学
バイオセンサにおける「死の谷」