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[2O3-OS-24b-02] 食文化研究へのAI活用
キーワード:食文化研究、デュエム-クワイン・テーゼ
長く「食事」に関わる研究は「雑学(非科学的な体系性のない知識の集合体)」扱いをされてきた.その状況を人工知能(AI)の発展が一変させる可能性がある.食事に関わる研究が「雑学」のように扱われてきたのは食の評価は複数の要因の組合せと相互作用によって形成されることである.それは「他の要因を一定にして(ceteris paribus)」特定の要因の効果を抽出しようとする,いわゆる近代的な科学的方法(還元主義)には馴染まない.これは「デュエム-クワイン・テーゼ (Duhem-Quine thesis)」として知られている,実証主義的な方法論の限界を示す一例でもある.AIの発達は,雑学のように見えていた事柄に法則性と体系性を見出す可能性をもたらしうることを示した.AIを食に関わる研究に活用し,「食の体系化」を実現することは大きな付加価値をもたらす.特に人に固有な能力と考えられてきたhospitalityをAIが身に付けたとき,その応用領域は大きく広がる.