2018年度人工知能学会全国大会(第32回)

講演情報

口頭発表

オーガナイズドセッション » [オーガナイズドセッション] OS-27 人工知能の医療応用

[4C1-OS-27a] 人工知能の医療応用(1)

2018年6月8日(金) 12:00 〜 13:40 C会場 (4F オーキッド)

13:20 〜 13:40

[4C1-OS-27a-05] Closed-Loop てんかんケア実現に向けたてんかん発作予知技術の開発

〇藤原 幸一1、坂根 史弥1、宮島 美穂2、山川 俊貴3、加納 学1、前原 健寿2 (1. 京都大学、2. 東京医科歯科大学、3. 熊本大学)

キーワード:てんかん、心拍変動解析、Closed-Loop てんかんケア

京都市祇園で起きた軽ワゴン車の暴走により,多数の死傷者が出た痛ましい事故は記憶に新しい.事故原因としてドライバのてんかん発作が挙げられている.てんかんとは脳細胞のネットワークに起きる異常な神経活動のため,けいれんや意識障害などのてんかん発作を来す疾患である.てんかん治療の第一選択は抗てんかん薬であるが,3割の患者は薬剤では発作を抑制できない.しかし,数十秒前に発作を予知できれば,患者は発作までに身の安全を確保し,生活の質を改善できる.我々はこれまでに心拍変動(HRV)と異常検知アルゴリズムを組み合わせたてんかん発作予知技術を開発した.オフライン解析によると,感度90%以上,擬陽性率0.7回/hが達成されている.発作予知技術が実用化できれば,発作起始の前に即効性抗てんかん薬の服薬することなどにより,発作を抑制または軽減できると期待される.このような治療法をClosed-Loopてんかんケアと呼ぶ.現在,AMED先端計測プログラムにて,Closed-Loopてんかんケアの実現に向けた研究開発を行っている.本発表ではてんかん発作予知システム開発の現状と今後の見通しについて発表する.