2018年度人工知能学会全国大会(第32回)

講演情報

口頭発表

オーガナイズドセッション » [オーガナイズドセッション] OS-3 質感と感性

[4O1-OS-3a] 質感と感性(1)

2018年6月8日(金) 12:00 〜 13:20 O会場 (2F 開聞)

12:00 〜 12:40

[4O1-OS-3a-01] (OS招待講演)個人の触覚情報の多様性と活用

〇田中 由浩1,2 (1. 名古屋工業大学、2. JST さきがけ)

キーワード:触覚、個性、知覚

触覚は極めて身体性の高い情報である.我々は外界との物理的接触を通じて,ある触覚を得るが,その情報は自身の身体の力学的変化,すなわち,皮膚の変形や振動,温度変化を元としている.したがって,我々が知覚している触覚情報は,自身の皮膚の状態を含んでおり,さらには運動に応じてもその情報は変化する.我々は運動を通じて触覚を得るが,同時に触覚を通じて運動を変化させる.このように両者には双方向の関係がある.触覚は,我々の皮膚や運動といった力学的特性においても個人差があり,さらに感度や認知の個人差もある.極めて主観的であり多様な感覚世界,個性を触覚情報は表現していると考えられる.このような多様性を捉え,活用するために,従来の官能評価や心理物理学的手法に加えて機械学習は有効であり,他者理解や人の能力を活用したり人に優しいデザインにつながるだろう.主観的な触覚の情報化と活用は始まったばかりである.本発表では,個人の触覚を情報化する取り組みや,それを活用した人の知覚研究や応用研究を紹介し,機械学習活用の可能性と発展について考察したい.