2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)

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[1M4-J-13] AI応用: 産業と市場

2019年6月4日(火) 17:20 〜 18:40 M会場 (1F 展示ホール右奥)

座長:谷本 啓(日本電気株式会社) 評者:東山 翔平(NEC)

17:20 〜 17:40

[1M4-J-13-01] 産業モジュール媒介性を持つ企業間関係の局所的取引構造に基づく推定

神田 公平1、〇佐々木 一2、山野 泰子2、坂田 一郎1 (1. 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻、2. 東京大学政策ビジョン研究センター)

キーワード:社会システム、機械学習応用

取引を通じて形成される企業間関係は企業の重要なリソースであるが, 昨今では特に変化の激しい市場環境に適応する革新的かつ機動的なイノベーションを生み出す企業間関係の構築が重要である. 本研究では, 冗長性の少ない知識や情報の獲得を促す産業モジュール間を媒介する企業間関係を, 大規模取引ネットワーク全体の構造の分析から特定した. 続いて, 局所的な企業の視点からの解釈性のある特徴量を設計し, 機械学習に基づくモデルを用い予測・議論した. これらから産業モジュールを媒介する企業間関係について大きく三つの示唆が得られた. 一つ目は, 産業の基盤を担う業種の取引はモジュールを媒介する可能性が高いこと, 二つ目は, 地域や業種といった, より希少な属性を持つ相手との取引関係は産業モジュールを媒介しやすいこと, 三つ目は仕入志向のサプライヤーと販売志向のバイヤーの取引関係は産業モジュールを媒介しやすいことである. これらの産業モジュールを媒介する取引関係の特定は, 冗長性の少ない情報の獲得や新しい市場へのアクセスを期待した取引先や買収先, 共同開発先などの選定に有用であると期待される.