2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)

講演情報

オーガナイズドセッション

オーガナイズドセッション » [OS] OS-1 計算社会科学

[2D5-OS-1b] 計算社会科学(2)

2019年6月5日(水) 17:20 〜 19:00 D会場 (301B 中会議室)

鳥海 不二夫(東京大学)、笹原 和俊(名古屋大学)、吉田 光男(豊橋技術科学大学)、瀧川 裕貴(東北大学)、榊 剛史(ホットリンク)、高野 雅典(サイバーエージェント)

17:40 〜 18:00

[2D5-OS-1b-02] 移動データを用いた人間関係の抽出とその性質の分析

〇浅谷 公威1、鳥海 不二夫1、大知 正直1、森 純一郎1、坂田 一郎1 (1. 東京大学)

キーワード:移動データ、複雑ネットワーク

人間関係は人々の移動を決定する要因であるため、そのメカニズムの解明は人間の移動の理解や制御に重要である。以前の研究では位置情報ゲームなどの行動履歴の解析により特定の状況下における人間関係と移動との関連性が解明されてきた。しかし、人間関係と移動を紐付けるデータの取得は難しいため、多様な人々の人間関係やそれらの日常的な移動への影響の理解は進んでいない。本研究では、大規模・長期間の人間の移動データより人間関係を抽出し、その妥当性を議論し、人間関係と移動との関連性を明らかにする。ぶんs3年間で600万人の日常的な移動をカバーする鉄道の移動データを用いた。通勤客などの見知らぬ同乗者同士の抽出を防止するために同時移動を複数のパターンで行う人々の間に人間関係を推測する手法を提案し、抽出結果の妥当性は条件を変えた観察より裏付けた。抽出した人間関係の密度を年齢性別のグループ別に観察し、高齢男性の孤立などの社会構造を明らかにした。また、人間関係のある人との移動は非日常的かつ短距離であることが多く、それらは時空間的に収束することが確認された。そして、この性質を用いたイベント検知が有用であることを確認した。