2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)

講演情報

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オーガナイズドセッション » [OS] OS-1 計算社会科学

[2D5-OS-1b] 計算社会科学(2)

2019年6月5日(水) 17:20 〜 19:00 D会場 (301B 中会議室)

鳥海 不二夫(東京大学)、笹原 和俊(名古屋大学)、吉田 光男(豊橋技術科学大学)、瀧川 裕貴(東北大学)、榊 剛史(ホットリンク)、高野 雅典(サイバーエージェント)

18:20 〜 18:40

[2D5-OS-1b-04] グローバル株所有ネットワークでの中国による間接支配の見える化

〇水野 貴之1,2、小髙 充弘1,2 (1. 国立情報学研究所、2. 総合研究大学院大学)

キーワード:計算社会科学、複雑ネットワーク、国際関係

世界の3億社と1.4億人に関する株所有情報を含むデータセットを用いて,グローバルな株所有ネットワークにおける中国の間接支配を調べる.はしめに,ネットワーク上のパーコレーションモデルを拡張することによって,支配関係をグローバルな株所有ネットワークのサブグラフ(サブネットワーク)として抽出する.このモデルは,直接所有だけではなく,支配下企業を介した間接所有も加味して,企業が支配されるか(ノードがパーコレートするか)を定める.次に,中国株主と米国企業(投資会社とGAFA)による世界支配を,支配に必要な所有比率を変化させて観測する.中国株主が協調することで,世界支配は大きく拡大する.中国は, 1%を超える間接的な株所有によって世界の全従業員の47%を支配している.中国による支配は,タックスヘブン地域,フランス,南アフリカ,ナイジェリアで顕著である.フランスは旧植民地であるアフリカで多くの企業の株を持っている.支配関係は階層構造を持っている.すなわち,中国はフランスを介してアフリカを支配している.特に,採掘業で顕著である.中国の世界支配は強いけれども,米国企業による支配はその比ではない.