2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)

講演情報

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オーガナイズドセッション » [OS] OS-16 臨床の知

[2K4-OS-16a] 臨床の知(1)

2019年6月5日(水) 15:20 〜 16:40 K会場 (201A 中会議室)

諏訪 正樹(慶應義塾大学)、藤井 晴行(東京工業大学)、加藤 文俊(慶應義塾大学)

16:00 〜 16:20

[2K4-OS-16a-03] 実地の体験とマニュアル制作による石積みの気づきのプロセス

〇篠崎 健一1、平田 貞代2、藤井 晴行3 (1. 日本大学、2. 芝浦工業大学、3. 東京工業大学)

キーワード:石垣 、築造体験、マニュアル

本稿は,琉球地方の伝統的生活空間を形成する珊瑚石の石垣の築造を通じて獲得する臨床の知の報告である。石垣築造は 2018年11月と2019年1月に伊是名村伊是名地区の個人所有地にて行い,二回の石積みの間に未来の石垣築造者に築造の仕方を伝えるために石積みマニュアルを制作した。本稿は,
(a)第1回臨地石積み体験により獲得した気づきや理解
(b)マニュアル制作により顕在化した気づきや理解
(c)第2回臨地石積み検証(マニュアルの検証)により獲得した気づきや理解
を,(1)石積みの基本技術,(2)石のマネジメント,(3)石垣普請の全体の流れ,(4)石垣普請のヴァリエーションの4つの観点から整理する。
 a-cの過程を経て,それまで個別であった気づきや理解が一つの全体像を持つように統合されてくる。特に「積み石」と「ぐわぁ石」という石の呼称の獲得により,石垣の断面構成が明瞭に意識され共有される。さらに「石の積む箇所」をわかりはじめることで,積む石を事前に並べ置く石のマネジメントの可能性が拡大する。重機に頼らない人力での石積みができることは,集落の持続可能な内発的石垣築造の可能性につながることがわかった。