2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)

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[2N5-J-13] AI応用: 医療とヘルスケア

2019年6月5日(水) 17:20 〜 18:40 N会場 (1F 展示ホール右奥)

座長:山本 泰智(ライフサイエンス統合データベースセンター) 評者:古崎 晃司(大阪電気通信大学)

18:00 〜 18:20

[2N5-J-13-03] 精神医学におけるAI活用の現状,課題,そして可能性

〇池田 伸1 (1. 岡山県精神科医療センター)

キーワード:精神医学、機械学習、精密医療、全脳シミュレーション

本発表の目的は,精神医学におけるAI活用の現状を俯瞰することである。医学論文サイトであるPubMedでの検索によれば,精神科領域におけるAI関連の論文数は年々大きく増加しており,この分野でもAIの活用が徐々に浸透しつつあることが窺われる。研究対象は多彩であるが,「抑うつ」「統合失調症」「アルツハイマー病」など,精神科の主要な障害が順当に多数を占めている。一方,用いられているAI技術はほとんどが機械学習で,サポートベクターマシン,ランダムフォレスト,ロジスティック回帰などが頻用されており,ディープラーニングを活用した研究はいまだ少数にとどまっている。AI技術は,精神科の診療の質を向上させるだけでなく,これまで客観性の面で不十分であるとの批判を免れなかった精神医学の理論的基盤そのものを新たなパラダイムへと導く可能性を有している。精神科におけるAI活用を推進するためには,臨床医とエンジニアとの協働,および個人情報保護にも配慮した社会環境の整備が必須である。