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[4M2-J-9-03] 無理問答から見る、人工知能と身体性
キーワード:無理問答、身体性、フレーム問題
1980年代以降、人工知能の研究は身体性やニューラルネットワークといった脱-記号主義に舵を切ることで大きな成功を収めた。しかし、そうした脱-記号主義的潮流が盛んな昨今においても、特に記号を扱う知能の形成に身体性がどう関わるのかについてはほとんど未知であり、これを論じた文献は皆無だと言える。本稿ではこの問題について、無理問答という言葉遊びの創作における認知プロセスを解明することで洞察を得ようとするものである。我々は、無理問答の創作において身体性が重要な役割を果たしていることを議論する。結論として、身体性を発揮することで人間は、一見無関係な言葉同士を実世界での行動と結びつけることによってそれらにとって重要な性質を見つけ出すこと、土地と季節を結びつけるなど人が暮らす風景を総体的に想起できること、何の関係もしないように思われる二つの物事を比較する中で共通の構造を見出し、暗喩として新たな意味を見出すことができることが分かった。