2020年度 人工知能学会全国大会(第34回)

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[1P5-GS-7] エージェント: 協力とゲーム理論

2020年6月9日(火) 17:20 〜 18:40 P会場 (jsai2020online-16)

座長:福田直樹(静岡大学)

18:20 〜 18:40

[1P5-GS-7-04] 繰り返し囚人のジレンマにおけるZD戦略の移動性の進化的影響

〇川口 皓幹1、鈴木 麗璽1、有田 隆也1 (1. 名古屋大学 大学院情報学研究科)

キーワード:囚人のジレンマ、ZD戦略、協力の進化

個体間の利害対立のモデルとして繰り返し囚人のジレンマゲームはよく知られているが,Press & Dyson(2012)は自分と相手の利得期待値に線形関係を強いるZD戦略を提案し,注目を集めている.その一種,Extortion戦略は相手を上回る利得期待値が可能であるが,他のZD同様,自分自身との対戦の利得が小さく,進化的安定性に欠ける.本研究では戦略に移動性を導入し,別種と対戦し続けうる状況を設定した場合のZDの性能を検証することを目的とする.具体的には,二次元平面上で,全面協力,全面裏切り,しっぺ返し,ZDのいずれかを持つ個体が移動しながら,近傍内個体との対戦を繰り返すとともに,利得に応じて戦略が伝搬する.実験の結果,全面裏切りがいずれの条件でも存在率が最大になること,ZDは移動性がある場合の方が存在率が大きくなること,ZDの存在率の増加としっぺ返しの増加が連動することが示された.さらにZDの存在率は,移動速度や近傍の大きさがある値で最大となることもわかった.これは,移動による他戦略と対戦が重要である一方,速度が大きすぎると繰返し対戦が成立しづらくなり,ZDの特性が発揮されなくためである.

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