2022年度 人工知能学会全国大会(第36回)

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オーガナイズドセッション » OS-11 AIとデモクラシー

[2H6-OS-11b] AIとデモクラシー(2/2)

2022年6月15日(水) 17:20 〜 19:00 H会場 (Room H)

オーガナイザ:伊藤 孝行(京都大学)[現地]、大沼 進(北海道大学)、松尾 徳朗(産業技術大学院大学)、白松 俊(名古屋工業大学)

18:00 〜 18:20

[2H6-OS-11b-02] 公共的討議における多元的共通善の複眼的評価比較:福島県低濃度除去土壌県外処理問題を題材とした集団討議実験

〇相馬 ゆめ1、中澤 高師2、辰巳 智行3、大沼 進1 (1. 北海道大学、2. 東洋大学、3. 豊橋創造大学短期大学部)

キーワード:公共的討議、多元的共通善、議論評価、集団討議実験、マキシミン原理

デモクラシーの実現には、理念だけでなく実験的検証が不可欠である。公共的討議では、功利主義(最大多数の最大幸福)、平等原理、マキシミン原理(最不遇者改善)など多元的な価値の系からなる共通善に基づく議論が求められ、その質を複眼的に評価する必要がある。従来の討議の質評価指標は非連続的な尺度であり、分析に難があった。本研究では、福島県で貯蔵中の低濃度除去土壌県外処理問題を題材とした集団討議実験を行い、その議論を修正した評価指標と、議論参加者と第三者の採点で評価した。実験では、福島の人々の情報を議論前に提示する条件と、提示しない統制条件を設け、条件間の評価の違いを検討した。指標の評定結果では、両条件共にマキシミン原理の議論は他の価値の系より少なかった。一方、参加者と第三者の評価では、福島情報提示条件の方が統制条件よりマキシミン原理を考慮し、統制条件ではマキシミン原理が功利主義より結論で重視されなかったが、福島情報提示条件ではその差は生じなかった。さらに、福島情報提示条件でのみマキシミン原理と平等原理の連関が見られた。本研究は、AIがデモクラシーを評価できる要件整理に向けた実証的知見を提供した。

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