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[1E5-GS-6-04] 大規模調査に基づく静岡方言における推量表現の変異・変化
キーワード:言語変異・変化
静岡県地域の方言は,共通語にはない多様な語彙や表現形式を擁する点において注目に値する.静岡方言には「〜ツラ」「〜ズラ」「〜ダラ」「〜ラ」といった複数の推量表現が存在する。本研究では,こうした推量表現の使用・理解について大規模調査を行い,「多項分布型レジームスイッチング」及び「多群出現順位統計量」という分析手法によって,過去にどのような変化が生じたのかを推定した上で,今後の変化傾向を予測することを目的としている.調査の結果,推量表現「~ツラ」は,ほぼ消滅し,「~ズラ」についても衰退傾向が顕著であることが明らかとなった.また,こうした変化は今後も継続することが示唆された.さらに,客観的根拠に基づいた推量表現については,中年層において「~ダラ」の使用が多く見られることが分かった.一方,若年層においては方言形の使用が低下しており,これは話者判断に基づく推量表現「~ラ」についても同様の結果となった.方言研究におけるデジタルデータの活用は十分ではなく,情報学との分野融合的な研究も立ち遅れている.今後,人文学分野におけるデータサイエンスの手法を展開していくためにも,本提案手法は意義深いと言える.
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