2023年度 人工知能学会全国大会(第37回)

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[1F5-GS-5] エージェント

2023年6月6日(火) 17:00 〜 19:00 F会場 (大会議室 A3)

座長:高橋 英之(ATR) [現地]

17:40 〜 18:00

[1F5-GS-5-03] 自動作曲を用いた音楽スタイルの進化実験における混合継承の効果

〇中村 栄太1、金子 仁美2、伊藤 貴之3、金子 邦彦4 (1. 京都大学、2. 東京芸術大学、3. お茶の水女子大学、4. Niels Bohr研究所)

キーワード:進化計算、自動作曲、文化進化

本稿では、音楽スタイルの進化の仕組みを調べるための、自動作曲を用いた進化実験の結果について報告する。音楽などの創作文化の発展は、複雑な創作知識の伝達と変異の反復により起こるが、この過程における新しい創作スタイルの出現の原理や社会評価を通した鑑賞者の影響はまだ良く理解されていない。本研究では、これらの問題を調べるため、実社会における複雑な要因を排除した上で音楽スタイルの進化過程を直接観測する方法として、世代交代を続ける創作者集団を模した自動作曲モデルの集合が多数の鑑賞者からの評価を受けながら進化する過程を調べる実験を行った。この結果、作曲スタイルを特徴付ける高次元の統計量の混合継承に基づく創作知識の変異過程を組み込むことで、音楽スタイルの適応進化が起こることが示された。また、音楽経験の違いにより鑑賞時の嗜好性に有意な差が見られ、これが多様な音楽スタイルの共存を促す可能性が示された。これらの結果は、音楽スタイルの進化における鑑賞者の能動的役割を示唆するとともに、同じ進化実験の枠組みで、既存音楽にはないが人々に好まれる音楽スタイルを持つ自動作曲システムが構築できる可能性も示している。

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