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[2R5-OS-28a-01] 「情解」と「知解」をめぐって
キーワード:情動、価値、言語
岡潔は、良寛の書に接した経験を例に、ものごとの「わかり方」を三局面に区別し、「信解」「情解」「知解」という概念で説明している。(1)「信解」は「何がどうわかったのかわからないが、一切がわかってしまった」という主客未分の悟りのような直観が生じる局面、(2)「情解」は一定の情動とともに、対象に関わる心の作用が整理されていく局面、(3)「知解」は、前段で生じた整理が、対象を知覚する経験、それを言葉にする経験によってさらに整理される局面、をそれぞれ指していると考えられる。 ひとが世界や対象に出会う際、主客未分の「一切がわかってしまった」という経験は生じる場合もそうでない場合もあるので置くとして、本発表で問題にしたいのは「情解」と「知解」の関係である。通常の経験において、「情解」と「知解」は常に生じているように見えるし、両者には時間的な順序があるのではなく、同時並行で生じているように見える。ここでは、情動の身体的感受説(信原 2017)やメルロ゠ポンティの身体図式論を手掛かりに、情動と知覚、経験の価値的側面と事実的側面、経験とそれを語る言葉との関係について、改めて論点を整理してみたい。
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