[1Win4] ポスターセッション1

[1Win4-95] AI社会における信頼される役割の再考

〇山下 寿也¹、寺門 海¹ (1.GMOブランドセキュリティ株式会社)

キーワード：信頼される役割、制度的信頼と人間的信頼 、社会的複雑性

本研究は、PKI（Public Key Infrastructure）認証局における「信頼される役割（Trusted Role）」モデルを参照しながら、生成AI（例：ChatGPT）の普及がもたらす社会的複雑性やリスクをどのように管理できるかを考察する。ルーマンの社会的複雑性縮減論およびベックのリスク社会論を理論的枠組みとし、従来のロール・セオリーが示す「役割付与」の概念をAIにも適用することで、制度的信頼（性能や監査）と人間的信頼（倫理や責任）の橋渡しを可能にする仕組みを提案する。
特に、PKIにおける暗号技術と人的監査の融合事例を参照し、これを生成AIの「役割設計」に応用することの意義を示す。結果として、AIを無制限に利用するのではなく、明確な役割を定義し、その範囲内で責任と監査体制を確立するアプローチが、社会的複雑性の増幅を抑え、安全なAIの活用につながる可能性を示唆する。