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[2P1-OS-26-05] 偽情報・誤情報がむしばむ自律性
関係的自律の視点から
キーワード:偽情報・誤情報、自律性、関係的自律、リテラシー負担、情報懐疑論
本発表では、哲学における「関係的自律」の枠組みを用い、偽情報・誤情報(以下、偽誤情報)が蔓延する情報環境が個人の「自律性」に与える影響、及び、それに対して必要な対策について考察する。自分の意思や価値観に基づいて判断や行為をおこなえる「自律性」に対する尊重は、AIに関する多くのガイドラインにおいて中核的な倫理原則として掲げられる。しかし、偽誤情報の蔓延する情報環境は個人の自律性を脅かす懸念がある。関係的自律論によると、自律性には、①自己統治(自分の意思や価値観に適合した判断や行為をおこなう能力があること)、②自己決定(その能力を使う自由や機会のある環境があること)、③自己承認(その能力の行使を促すような自己意識があること)という三つの次元が関わる。現在、偽誤情報に対する代表的な対策としては、「自己統治」能力の強化をめざす啓蒙教育がある。しかし、この新たな情報環境は「自己決定」や「自己承認」の次元においても個人の自律性を脅かす可能性があり、より多角的な対策を要請する。本発表では、とくに「精査疲れ」および「情報懐疑論」「正しさへの無関心」に対する対策の必要性を主張する。
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