2025年度 人工知能学会全国大会(第39回)

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[3H5-OS-10c] 人工知能を駆使した疾患動態研究

2025年5月29日(木) 15:40 〜 17:20 H会場 (会議室1003)

オーガナイザ:岩見 真吾(名古屋大学),藤生 克仁(東京大学),中村 己貴子(中外製薬),岡本 有司(京都大学),小島 諒介(京都大学),川上 英良(千葉大学),本田 直樹(名古屋大学)

16:40 〜 17:00

[3H5-OS-10c-04] ノックダウン細胞株の遺伝子制御ネットワークを用いたグラフニューラルネットワークの転移学習と薬剤応答推定

〇大島 将1、岡本 有司1、戸﨑 泰誠1,2、奥野 恭史1,2 (1. 京都大学大学院、2. 理化学研究所計算科学研究センター)

キーワード:グラフニューラルネットワーク、遺伝子制御ネットワーク、転移学習、生存時間解析、がん個別化医療

がん個別化医療における標的遺伝子の網羅的同定と効果予測は極めて重要であるが、動物モデルや細胞株を用いる従来手法は高コストかつ時間を要し、網羅的解析には限界がある。
これを補うVirtual Knockdownの研究の現在は生物学的妥当性や長期的な治療効果の予測が十分でなかった。
そこで本研究では、グラフニューラルネットワーク(GNN)を活用した新たな学習スキームを開発し、がん細胞株の実験データとがん患者の仮想ノックダウン操作を整合させることで、転移学習を用いた遺伝子抑制後の患者予後推定手法を提案する。
特に、乳がんのHer2陽性サブタイプに注目し、ERBB2(Her2)の仮想ノックダウンを行った結果、生存率向上が確認されただけでなく、臨床データと比較したハザード比の改善も認められ、本手法の生物学的整合性と治療効果予測の有用性を示した。
本研究は、分子標的薬設計の信頼性向上や新規治療ターゲット探索、さらには臨床応用に向けた有用な基盤技術となることが期待される。今後は多様ながん種への適用や臨床データとのさらなる融合により、汎用性と精度を高めた治療効果予測モデルの構築が期待される。

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