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[3O1-OS-44a-04] 協調課題における複数のIBLエージェントを用いたコミュニケーションシステムの創発
キーワード:認知モデル、事例ベース学習、マルチエージェント、コミュニケーション
コミュニケーションの創発において,その成員が有する記憶の重要性が指摘されている.協調の試行を繰り返すなかで,成員間で共通の事例が蓄積される.蓄積された事例が人間の有する記憶のメカニズムを通して抽象化されることで,成員間での意図伝達を可能にするシステムが形成される.ただし,このような一般的な説明を計算機上のモデルとして具体化した際には,知識表現の形式によって多様性が生じる.本研究では,事例ベースのコミュニケーション形成のモデルとして,統合的な認知アーキテクチャであるACT-Rに基づくものと,事例ベース学習に特化したアーキテクチャであるPyIBLに基づくものを比較する.結果として,明示的な目標表現に基づく制御構造を有するACT-Rに基づくモデルに比べ,そのような構造を有さないPyIBLに基づくモデルは,コミュニケーションの形成が遅延した.この遅延の原因として,PyIBLによるモデルは,ターンテイクが要求される状況において,自己の記憶と他者の記憶を区別して利用することの困難さが挙げられる.本研究の知見は,言語進化過程と並行して生起する目的表現,およびそれに基づく自他の区別の創発を示唆する.
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