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[16a-423-7] スピン共鳴の量子極限
キーワード:スピン共鳴、ハイブリッド量子系、超伝導量子回路
スピン共鳴においては,共振器と共鳴しているスピンがラーモア歳差運動の最中に放出するマイクロ波シグナルを“インダクティブに”検出する方法が一般的である.しかし,スピンと共振器の相互作用が弱いこと,スピンの偏極率が悪いこと,共振器の特性係数(Q値)が悪いこと,そして増幅器を含んだ測定ラインの雑音が非常に大きいこと,の四つが本質的な障害となりESRの感度は極めて悪い:室温においてパルスシーケンス一回の間にシグナルを信号雑音比1以上で検出するためには1013以上のスピンを準備する必要がある.我々は超伝導量子回路を用いて量子情報科学の実験研究をこれまで行ってきた.本研究ではそれらの技術[1]を応用し,これまで報告されていた電子スピン共鳴(ESR)の感度の最高値を4桁更新する新しいESR分光器の実証に成功した[2].