13:30 〜 16:30
[18p-E318-1] X線光電子分光法のこれまでとこれから
講義内容:前半では“X線光電子分光法のこれまで”として世界と日本におけるXPSの始まりと急速な発展の歴史、表面・界面分析における役割と特徴、そしてXPSスペクトルから得られる情報について述べる。固体表面から放出される光電子は化学シフトなどの基底状態、交換分裂などの励起状態、そして光源のサテライトなどの実験装置の情報を含んでおり、それらの基礎過程と実例について詳述する。
後半では“XPSのこれから”として高輝度放射光などの光源、高機能入射電子レンズと位置敏感検出器を備えた電子エネルギー分析器の開発が可能とした準大気圧XPSや硬X線光電子分光法などについて解説する。新たなXPSの開発は観察対象・条件を広げるだけでなく、空間電荷効果などの新たな課題が生じていることを述べる。このようなXPS観察にともなう課題の原因と解決法を具体的に述べることにより、XPSを威力的な実験手法として活用していただくことを目的として講義する。本チュートリアルの内容をさらに勉強したい方は、参考書として高桑雄二編著「X線光電子分光法」(講談社, 2018年)をお勧めする。
1982年東北大学大学院理学研究科物理学専攻単位修得退学、1982年東北大学電気通信研究所助手、1993年東北大学科学計測研究所助教授、改組により2001年東北大学多元物質科学研究所准教授を経て、2010年同教授。