09:00 〜 11:30
〇佐藤 宇史1 (1.東北大学 材料科学高等研究所 (AIMR)(兼) 大学院理学研究科物理学専攻 光電子固体物性研究室)
講義内容:外部光電効果を利用して、物質中の電子の性質(電子構造)を直接実験的に決定できる方法が「光電子分光」である。光電子分光(外部光電効果)は100年以上の長い歴史を持っているが、光電子分光装置の著しい高分解能化により、近年大きく注目されるようになった。光電子分光の発展版である「角度分解光電子分光(ARPES)」は、物質のエネルギーバンドを直接可視化できる実験手法であり、現在物性物理および材料科学において欠かせない実験手法の一つとなっている。本講座の前半では、ARPESの発展の歴史、基本原理、実験装置などについて解説する。後半では、ARPESが新機能物質の物性解明にどのように役に立っているかについて、グラフェンなどの原子層物質、トポロジカル絶縁体、高温超伝導体などを例にして解説する。また、これらの研究とデバイス応用との関連や、放射光を用いたARPES研究の将来展望についても述べる。