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[AK-02] 家畜・家禽の管理における行動学的研究の推進と後進の育成
1979年3月広島大学大学院農学研究科修士課程畜産学専攻を修了し,同年4月に麻布大学に助手として採用され,1984年10月に講師,1989年4月に助教授,1996年4月に教授に昇進した.この間,1988年7月に農学博士の学位を取得し,1989年8月から1年間カナダ国ゲルフ大学の客員教授として研究活動を行った.
主な研究業績を概説すると以下の通りである.
①採卵鶏の管理に関する行動学的研究
わが国ではまだアニマルウェルフェア(AW)という考え方がほとんど知られていなかった30有余年前の1980年代に,国内でいち早く「ケージ飼育における産卵鶏のAWに関する研究」を開始した.研究では,各種の改良(エンリッチド)ケージやエイビアリー,平飼い,野外放飼などさまざまな飼育法において,行動と生理反応および生産性などの点から従来型ケージとの多面的な比較を行い,小型エンリッチドケージの優位性を明らかにした.さらに,指導した大学院の学生とともに,従来型ケージを利用した安価に導入可能な簡易型エンリッチドケージを開発するとともに,AWの評価法を提案するなど,近年における採卵鶏のAWの考え方の普及啓発にも貢献してきた.このテーマに関連した総説・解説記事を含む原著論文数は52報,著書は8編と多数に及び,特に国内における採卵鶏のAW研究を文字通りパイオニアとしてけん引してきた.
②中家畜(ブタ・ヒツジ)の管理に関する行動学的研究
当時,家畜では取り入れられていなかった心理学的手法であるオペラント条件づけ学習に基づく弁別学習を応用した方法によって,ブタやヒツジの感覚能力を測る手法を確立し,色覚や視力など視覚の特徴を明らかにした.また,その過程で,ブタとその祖先種であるイノシシの視覚能力を比較することで,イノシシの進化的・生態的特徴がブタに受け継がれていることを行動学的に例証した.さらには,AWに関する研究として,哺乳期に隣接する2器の分娩柵の間仕切りを撤去して2腹の子豚を共同哺育することで,離乳後の異腹子豚との敵対行動を減少させられることや,離乳子豚を屋外放飼することによるウェルフェアレベルの改善等についても報告した.このテーマに関連した総説・解説記事を含む原著論文数は20報,著書は14編と,こちらについても,我が国を代表する研究者として,特に国内における研究の発展に大いに貢献してきた.
学会活動への貢献については,日本畜産学会の理事,常務理事,副理事長および理事長として学会の発展に貢献した.特に理事長として,日本畜産学会の公益法人化に尽力した.また,第107回(2007年度)と第125回(2019年度)の2度にわたって大会長を務めた.さらに,機関誌編集委員長も務め,Animal Science Journal 誌の国際化やインパクトファクター取得に貢献した.
関連学会である日本家畜管理学会でも,副会長,会長を務め,応用動物行動学会では副会長として,両学会の協力体制を構築した.また,合同機関誌Animal Behaviour and Management誌の発行や,第39回国際応用動物行動学会の日本への誘致に尽力し,所属先の麻布大学を会場として成功裏に開催した.さらに,日本緬羊研究会では,2004年から会長を務め,世界的には主要な家畜である緬羊の研究の発展やわが国での振興対策等に貢献してきた.
社会的貢献としては,農林水産省をはじめとする各種機関の委員会に委員または評価員として参画し,畜産の研究推進および現場における行動学的知見の普及や家畜管理技術の検討等に大きくに貢献してきた.また,私立大学畜産学教育研究会にその創設当初から関わり,これまで幹事および常任幹事として情報の共有や交換に努力してきた.さらに海外でも,台湾国立屏東科学技術大学,中国南京農業大学,中国大連医科大学,韓国畜産学会,韓国動物福祉学会等において,家畜行動学や家畜福祉学の講義あるいは講演を行ってきた.
教育面では,麻布大学教員として,40年にわたって500名を越える学生の卒論指導にあたってきた.その多くの卒業生が国家公務員,地方公務員,団体職員として,また各種企業において活躍している.大学院学生の指導においては,海外や他大学からの進学者を含めて,主査として16名,副査として11名の学位論文の審査を担当した.その修了者の大半が国公私立大学の教員や国および地方自治体の試験場等の研究員として,当分野の発展に寄与しており,そのうちの4名が日本畜産学会奨励賞を受賞している.また,国内外の多数の大学において客員教授や非常勤講師として,動物行動学や動物福祉学の講義を行い,学部および大学院学生の指導を行ったほか,他大学の博士論文の副査も務めてきた.
主な研究業績を概説すると以下の通りである.
①採卵鶏の管理に関する行動学的研究
わが国ではまだアニマルウェルフェア(AW)という考え方がほとんど知られていなかった30有余年前の1980年代に,国内でいち早く「ケージ飼育における産卵鶏のAWに関する研究」を開始した.研究では,各種の改良(エンリッチド)ケージやエイビアリー,平飼い,野外放飼などさまざまな飼育法において,行動と生理反応および生産性などの点から従来型ケージとの多面的な比較を行い,小型エンリッチドケージの優位性を明らかにした.さらに,指導した大学院の学生とともに,従来型ケージを利用した安価に導入可能な簡易型エンリッチドケージを開発するとともに,AWの評価法を提案するなど,近年における採卵鶏のAWの考え方の普及啓発にも貢献してきた.このテーマに関連した総説・解説記事を含む原著論文数は52報,著書は8編と多数に及び,特に国内における採卵鶏のAW研究を文字通りパイオニアとしてけん引してきた.
②中家畜(ブタ・ヒツジ)の管理に関する行動学的研究
当時,家畜では取り入れられていなかった心理学的手法であるオペラント条件づけ学習に基づく弁別学習を応用した方法によって,ブタやヒツジの感覚能力を測る手法を確立し,色覚や視力など視覚の特徴を明らかにした.また,その過程で,ブタとその祖先種であるイノシシの視覚能力を比較することで,イノシシの進化的・生態的特徴がブタに受け継がれていることを行動学的に例証した.さらには,AWに関する研究として,哺乳期に隣接する2器の分娩柵の間仕切りを撤去して2腹の子豚を共同哺育することで,離乳後の異腹子豚との敵対行動を減少させられることや,離乳子豚を屋外放飼することによるウェルフェアレベルの改善等についても報告した.このテーマに関連した総説・解説記事を含む原著論文数は20報,著書は14編と,こちらについても,我が国を代表する研究者として,特に国内における研究の発展に大いに貢献してきた.
学会活動への貢献については,日本畜産学会の理事,常務理事,副理事長および理事長として学会の発展に貢献した.特に理事長として,日本畜産学会の公益法人化に尽力した.また,第107回(2007年度)と第125回(2019年度)の2度にわたって大会長を務めた.さらに,機関誌編集委員長も務め,Animal Science Journal 誌の国際化やインパクトファクター取得に貢献した.
関連学会である日本家畜管理学会でも,副会長,会長を務め,応用動物行動学会では副会長として,両学会の協力体制を構築した.また,合同機関誌Animal Behaviour and Management誌の発行や,第39回国際応用動物行動学会の日本への誘致に尽力し,所属先の麻布大学を会場として成功裏に開催した.さらに,日本緬羊研究会では,2004年から会長を務め,世界的には主要な家畜である緬羊の研究の発展やわが国での振興対策等に貢献してきた.
社会的貢献としては,農林水産省をはじめとする各種機関の委員会に委員または評価員として参画し,畜産の研究推進および現場における行動学的知見の普及や家畜管理技術の検討等に大きくに貢献してきた.また,私立大学畜産学教育研究会にその創設当初から関わり,これまで幹事および常任幹事として情報の共有や交換に努力してきた.さらに海外でも,台湾国立屏東科学技術大学,中国南京農業大学,中国大連医科大学,韓国畜産学会,韓国動物福祉学会等において,家畜行動学や家畜福祉学の講義あるいは講演を行ってきた.
教育面では,麻布大学教員として,40年にわたって500名を越える学生の卒論指導にあたってきた.その多くの卒業生が国家公務員,地方公務員,団体職員として,また各種企業において活躍している.大学院学生の指導においては,海外や他大学からの進学者を含めて,主査として16名,副査として11名の学位論文の審査を担当した.その修了者の大半が国公私立大学の教員や国および地方自治体の試験場等の研究員として,当分野の発展に寄与しており,そのうちの4名が日本畜産学会奨励賞を受賞している.また,国内外の多数の大学において客員教授や非常勤講師として,動物行動学や動物福祉学の講義を行い,学部および大学院学生の指導を行ったほか,他大学の博士論文の副査も務めてきた.