[I-29-07_09] 畜産物利用（I-午前）

[I29-09] ダチョウ脂質構成脂肪酸のヒト皮膚角化細胞における抗炎症作用の解析

^○Kawahara Takeshi^1,2, Tanioka Miki¹ (1.Faculty of Agriculture, Shinshu Univ., 2.Research Center for Fungal and Microbial Dynamism, Shinshu Univ.)

【目的】我々はこれまで，皮膚保護作用で知られるダチョウ油を作用させたヒト皮膚角化細胞に対して網羅的遺伝子解析を行い，Toll-like receptor（TLR）10の発現誘導作用を見出したほか，発現誘導に関わる分子としてトリグリセリドやその構成脂肪酸を遊離型で作用させることで誘導作用が増強されることを報告してきた．本研究はこれらの成分の皮膚角化細胞におけるTLR2誘導性炎症応答に対する抑制作用について評価を行った．
【方法】TLR10発現増強作用のみられたトリグリセリドならびに脂肪酸をヒト皮膚角化細胞HEKaの培養系に添加し24時間の培養を行った．その後TLR2リガンドであるPam2CSK，Pam3CSK4，FSL-1により炎症応答の誘導を行い，TLR2リガンド添加46時間後の培養上清中に産生されたIL-8をサンドイッチELISA法で測定することにより評価を行った．
【結果】トリグリセリドでは脂肪酸の種類にかかわらずTLR2リガンド誘導性のIL-8産生を抑制する作用はみられなかった．遊離脂肪酸では3種のリガンド対して抑制作用が観察されたが，とくにTLR1/TLR2リガンドであるPam3CSK4誘導性の炎症に対して効果が認められ，作用の強さでは一価不飽和脂肪酸であるパルミトレイン酸でもっとも顕著であった．