[I-29-10_12] 畜産物利用（I-午前）

[I29-11] ジペプチド由来メイラード反応生成物中におけるネコの嗜好性に影響する香気成分

^○Hattori Misaki, Yokoyama Issei, Shimazaki Haruka, Himoro Minami, Komiya Yusuke, Nagasao Jun, Arihara Keizo (Kitasato Univ.)

【目的】近年，機能性ペットフードや療法食への関心が高まっている．これらのフードも，嗜好性が低いとペットは摂取しない．これまで当研究室では，ペプチドやメイラード反応生成物がフードの嗜好性を向上させることを示してきた．そこで本研究では，嗜好性向上素材としてロイシンとリジンからなるジペプチドに由来するメイラード反応生成物に注目し，ネコの嗜好性に関与する香気成分の検出を試みた．
【方法】ジペプチドとしてLeu-LysおよびLys-Leuを用いて，グルコースとのメイラード反応生成物を調製した．香気成分分析は，GC/MSおよびGC-O（匂い嗅ぎ試験）により実施した．本研究では，2,5-dimethyl-4-hydroxy-3(2H)-furanone(DMHF)とメチオナールの存在に注目し，とくにDMHFはその香気が保健的機能を有することからも重視した．
【結果】Leu-LysおよびLys-Leu由来のメイラード反応生成物のいずれからもDMHFが検出され，フードの嗜好性向上や保健的機能付与に寄与するものと考えられた．これらのメイラード反応生成物を添加したネコ用療法食からは，DMHFに加えてフード由来のメチオナールも検出され，嗜好性に優れることが期待された．今後，フード中の各香気成分の至適濃度や試料調製の条件について検討することで，機能性と嗜好性の両者に優れた素材の開発が期待できる．