The 125th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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口頭発表

[IX-29-04_06] 遺伝・育種 (IX-午前)

Fri. Mar 29, 2019 9:30 AM - 10:00 AM 第IX会場 (8号館8502講義室)

Chairman:Masahide Nishibori(Graduate School of Biosphere Science, Hiroshima University)

9:50 AM - 10:00 AM

[IX29-06] 個体履歴による口之島野生化牛の生息状況と生物学的特性の解析

KANEMAKI MISAO (Institute of Animal Science)

【方法】2013年から2018年の6年間,12シリーズの合計36日にわたり鹿児島県口之島で野生化牛の観察を行い,個体を識別し,生年月と死亡年月・生存期間の推定,生育状況,繁殖状況などの個体履歴を記録・分析した.個体識別は,本学会第123回大会で報告した外貌観察,親子関係調査などの方法により行った.【結果】これまでに識別できた個体は45頭で,雄16頭,雌29頭であった.3例の初産記録から平均初産月齢は36ヶ月,8例の連産記録から平均分娩間隔は18.9ヶ月であり,分娩間隔から計算される繁殖率は64%であった.また,19例の母子の生年月の記録から母子間の平均世代間隔は約67ヶ月と推定された.24個体の生育記録から,生後1年までに死亡すると推定された牛は46%,すなわち12ヶ月以上生存率は54%であった.誕生月の季節的変動は,春(3月から5月)9頭,夏(6月から8月)8頭,秋(9月から11月)1頭,冬(12月から2月)3頭であり,季節繁殖ではないが,春と夏に分娩が集中していた.これは,春遅くから初秋までの草の多い時期に妊娠が成立することを示している.これらの結果から,口之島野生化牛は,晩熟ではあるが優れた繁殖性を有し,幼牛の死亡率が高い集団であることが判明した.観察した地域における推定生息数は,調査期間を通じ20頭前後であった.