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[IX29-25] 重種馬の下部消化管内発酵に寄与する主要細菌群の特定
【目的】北海道で多く生産されている重種馬は,馬肉や競走馬としての需要があり,十勝の産業において重要な家畜である.これらをはじめとする後腸発酵動物のエネルギー獲得には,下部消化管に共存する微生物が関与しているが,重種馬における腸内細菌叢の研究例はない.そこで本研究では,重種馬の腸内細菌叢解析を行い,消化管内発酵に寄与する主要な細菌群を特定する事を目的とした.【方法】ばんえい競馬場内の厩舎で管理されている重種馬から糞便を採取し,16S rRNAを標的とした次世代シークエンサー配列解析により,各個体の主要な細菌群を特定した.【結果】門レベルでは,Firmicutesが6-8割と最優占で,その他では,Actinobacteria,Bacteroidetes,Fibrobacteres,Spirochaetes,Verrucomicrobiaが主要な細菌門であった.科レベルでは,未分類のBacteroidales,未分類のClostridiales,Lachnospiraceae,Ruminococcaceaeが全個体に幅広く見られた主要な細菌科で,重種馬の消化管内発酵において重要な役割を担っていることが示唆された.また,Streptococcaceaeの分布が個体によって大きく異なり,個体差の一因であることを明らかにした.