[P29-28] 牛精液希釈液への脂溶性抗酸化物質アスタキサンチン添加手法の検討
【目的】牛精液の凍結ダメージ軽減にむけて,水溶性抗酸化物質の研究が進む一方,難溶解性である脂溶性抗酸化物質の検討は進んでいない.本研究では,脂溶性抗酸化物質アスタキサンチンが精子運動性,体外受精胚発生率等へ与える効果を調べるため,精液希釈液への添加手法を検討した.
【方法】精液希釈液へのアスタキサンチン添加手法として,水溶化アスタキサンチン(AW)添加試験及びアスタキサンチン高含有卵黄(HA)利用試験を実施した.AW添加試験は,2頭の雄牛(A, B)の精液にAWを添加した希釈液で希釈後,液体窒素により凍結した.一方, HA利用試験は,4頭の雄牛(A, B, C, D)の精液を対照区として通常の卵黄を添加した希釈液とHAを添加した希釈液で希釈後,液体窒素により凍結した.製造した凍結精液について融解後の運動性,体外受精による胚発生率,DNAダメージへの影響を調査した.
【結果】AW添加試験において,精子運動性及び雄牛Aの胚発生率への影響はみられなかったが,Bでは胚発生率が低くなる傾向がみられた.HA利用試験では精子運動性への影響は一定ではなく,胚発生率は雄牛Aで高くなったが,B及びDには効果がみられず,Cでは低くなるなど牛精液に選択的に作用することが考えられた.DNAダメージへの影響はみられなかった.利用条件の検討により,精液希釈液へのアスタキサンチン添加手法としてHAは利用可能であると考えられる.
【方法】精液希釈液へのアスタキサンチン添加手法として,水溶化アスタキサンチン(AW)添加試験及びアスタキサンチン高含有卵黄(HA)利用試験を実施した.AW添加試験は,2頭の雄牛(A, B)の精液にAWを添加した希釈液で希釈後,液体窒素により凍結した.一方, HA利用試験は,4頭の雄牛(A, B, C, D)の精液を対照区として通常の卵黄を添加した希釈液とHAを添加した希釈液で希釈後,液体窒素により凍結した.製造した凍結精液について融解後の運動性,体外受精による胚発生率,DNAダメージへの影響を調査した.
【結果】AW添加試験において,精子運動性及び雄牛Aの胚発生率への影響はみられなかったが,Bでは胚発生率が低くなる傾向がみられた.HA利用試験では精子運動性への影響は一定ではなく,胚発生率は雄牛Aで高くなったが,B及びDには効果がみられず,Cでは低くなるなど牛精液に選択的に作用することが考えられた.DNAダメージへの影響はみられなかった.利用条件の検討により,精液希釈液へのアスタキサンチン添加手法としてHAは利用可能であると考えられる.