The 125th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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ポスター発表

[P-29-39_47] Poster session

Fri. Mar 29, 2019 9:00 AM - 3:30 PM ポスター会場・展示 (大教室)

[P29-46] イヌおよびネコにおける品種ごとの近交化と集団遺伝構造の解明

松本 悠貴1,2, 大橋 健1, 卯川 尚史1, Napat Ruamrungsri1, 石原 玄基1 (1.アニコム先進医療研(株), 2.遺伝研)

イヌおよびネコは,その品種が確立される過程で近親交配が繰り返されてきた.過度な近交化は近交弱勢のリスクを高めるため,適切な交配により回避する必要がある一方で,品種ごとの近交化の程度は未だ十分に明らかにされていない.本研究では,ゲノム規模の多型情報を用いて,各品種における近交化の程度と遺伝構造を明らかにすることを目的とした.イヌの18品種1017個体およびネコの17品種234個体を対象に,Illuminaの一塩基多型(SNP)アレイにより6万以上のSNPを決定した.これらのSNPに基づき近交係数F を計算し,ANOVAにより解析した結果,両種において品種間差が見られた(イヌ F(18,997)=63.94, P < 0.01; ネコF(17,216)=13.21, P < 0.01).また,イヌでは,各品種の飼育個体数とFの品種内の平均値との間に有意な負の相関が見られたが(ρ=-0.65, P=0.01),ネコでは相関は見られなかった(ρ=-0.33, P=0.18).さらに,Admixtureを用いて各個体の遺伝構造を推定した結果,両種ともに品種内で独自の遺伝構造をもつ品種,複数の品種と共通した遺伝的特徴が見られる品種が明らかになった.以上から,近交弱勢のリスクを低減するためには,品種毎に適した交配計画の策定や,異なる遺伝的背景を持つ個体を繁殖に用いることが有効であると考えられる.