[P29-57] 腸管Tregを誘導するLactobacillus murinusのTreg誘導成分探索
これまでβグルカンの認識受容体であるDectin-1 を欠損したマウス腸内においてLactobacills murinusが増殖し,これが腸管樹状細胞への機能発揮から制御性T細胞(Treg)を増加させ,マウスDSS誘導性大腸炎を軽減することを明らかにしている.本研究は,L. murinusのTreg誘導に関与する成分,そして受容体を明らかにする事を目的としている.L. murinusによるTregの誘導が代謝産物によるものなのか明らかにするために,無菌マウスに死菌体を投与したところ,大腸において誘導性Treg(iTreg)の増加が認められ,菌体成分が誘導に関わることが明らかになった.また,TGFβ存在下でTregの増加に関与するIL-10の発現量が特に増加した.そこで,in vitroにおいてIL-10の産生に関わる受容体探索を行ったところ,TLR2の関与が示唆された.また,Syk阻害剤の添加によってもIL-10の産生が強く阻害され,C型レクチン受容体の関与が認められた.これまで,TLRとC型レクチン受容体の相互作用がIL-10産生を増強することが報告されており,現在具体的な受容体の探索を行っている.本研究により,乳酸菌上に存在するリガンドの特定,TLRとC型レクチンの協調作用の詳細,そしてiTregの分化誘導にどのように関わるのかを明らかにし,乳酸菌による腸管炎症制御を目指す.