[P29-63] 離乳時期の違いが黒毛和種子牛の唾液中コルチゾール濃度におよぼす影響
【目的】初期投資や必要経費を極力抑える周年親子放牧では,子牛は離乳せず親牛と同居させ育成させるが,哺乳期間延長による子牛の発育等について生産者の不安は大きい.第122回大会において,演者らは離乳時期の違いによる子牛の発育成績や行動等について報告した.今回,さらに供試頭数を追加し,ストレス指標として唾液中コルチゾール濃度や血液中代謝物質等を調べたので報告する.【方法】黒毛和種繁殖雌牛―雄子牛の親子を慣行離乳する区(3ヵ月離乳区,6組)と離乳を延長する区(7.5ヵ月離乳区,7組)に分けた.3ヵ月離乳区では子牛が3ヶ月齢の時に完全に離乳した.7.5ヵ月離乳区では,子牛が7.5ヶ月齢の時まで親牛を同居させた.放牧を想定し粗飼料は飽食させた.親と同居以外は,両区とも飼料その他は同じ飼育環境とした.8ヵ月齢までの間に定期的に唾液を採取し,唾液中コルチゾール濃度を測定した.また,唾液採取後に採血し血漿中グルコース濃度等を測定した.【結果と考察】3ヵ月離乳区では,離乳2週間後に大きな唾液中コルチゾール濃度の上昇がみられ,ストレスレベルが高いことが示唆された.また,血漿中グルコース濃度は,7.5ヵ月離乳区において,3ヵ月離乳区と比較し5ヵ月齢時まで高水準で推移しており,5ヵ月齢でも第二胃溝反射による母乳の消化吸収が行われている可能性が考えられた.