[V-29-08_10] 繁殖・生殖工学(V-午前）

[V29-09] ウシ精子の液状保存における保存温度および細胞保護物質の添加の影響

^○Ogata Kazuko¹, Abe Masahiro², Yamanouchi Tadayuki¹, Fujikawa Takuro³, Matsuda Hideo¹, Tamura Shinnosuke¹, Hashiyada Yutaka⁴, Hayashi Masakazu⁵, Gen Yuki⁵, Gen Shokyu⁵, Miura Naoki³, Kubota Chikara³ (1.National Livestock Breeding Center, 2.National Livestock Breeding Center Tottori station, 3.Kagoshima Univ., 4.Ishikawa Prefectural Univ., 5.BioVerde)

【目的】精液の液状保存は，簡便に輸送でき，凍結のダメージを伴わない精液の利用を可能にする．本研究では，ウシ精子に及ぼす液状保存の温度ならびに保存液へのカルボキシル化ポリリジン（CPLL）およびグルタチオン（GSH）の添加の影響を調べた．【方法】黒毛和種4頭の精液を卵ク液で希釈し（Day0），ストロー内でDay8まで保存した．はじめに保存温度として4℃および17℃を比較し，次に保存液として卵ク液にCPLL0.1％，CPLL1.0％，GSH0.5 mMまたはGSH5.0 mMを添加した試験区と無添加区を比較した.Day0，2，4，および7での精子の運動性，ならびにDay2，4，および7での生存性およびミトコンドリア（MT）活性を評価した．また，Day3および8に液状保存精子を用いた体外受精（IVF）を行い，卵割率および胚発生率を評価した．【結果】保存温度は，17℃で4℃と比べてDay2および4での運動性が高かった（P<0.01）．保存液は，GSH両区でCPLL1.0％区と比べて，Day4および7での運動性，ならびにDay7での生存性およびMT活性が高かった（P<0.01）.Day8でのIVFによる胚発生率はGSH5.0 mM区で他区と比べて高かった（P<0.05）．以上より，5.0 mMのGSHを添加した保存液を用いた17℃での保存はウシ精液の液状保存条件として有効である可能性が示された．