[V-29-08_10] 繁殖・生殖工学(V-午前）

[V29-10] 黒毛和種種雄牛の年齢が凍結精液の精子運動持続性に及ぼす影響

^○Hoshino Yoichiro¹, Adachi Hiromichi², Mokojima Koshi² (1.Graduate School of Agriculture, Kyoto-Univ., 2.GIFU Prefectural Livestock Research Institute)

【目的】牛凍結精液の精子運動性は，種雄牛の個体差や，年齢や製造時の環境に影響される．精子運動の持続性は受胎率に影響すると考えられるが，凍結精液を融解した直後の検査だけでは評価が困難である．本研究では，新規開発した精子運動解析（CASA）ソフトを用いて，黒毛和種凍結精液の精子運動持続性に，種雄牛の年齢が及ぼす影響を調べた．【方法】5, 7, 9, 11歳の時に製造した凍結精液が保存されていた種雄牛3頭（A, B, C）の凍結精液を用いた．凍結精液は融解後，37℃空気相の培養器に入れ，融解直後から4h後まで1hごとに2μlの精液をとり，Lejaチャンバーに注入して顕微鏡下で精子運動の動画を撮影し，CASAで解析して運動精子率および各種測定値を求めた．【結果】種雄牛によって運動精子率およびCASA測定値の経時変化は異なった．どの種雄牛においても，運動精子率は5歳時が最も高く，4h後まで運動性が維持された．9, 11歳時の精液は4h後（種雄牛A, C）または3h後（種雄牛B）までに運動性が失われた．精子速度を表す測定値（VCL, VAP, VSL）は5歳時が最も高かったが，7歳時との間に有意差が生じる時間は種雄牛ごとに異なった（A:2h, B:1h, C:3h)．【考察】黒毛和種凍結精液の精子運動持続性は種雄牛の年齢に伴って低下し，その程度は種雄牛によって異なることが示唆された．