1:50 PM - 2:00 PM
[VI29-20] マウスの酸素消費量および体重における母性効果の推定
【目的】生体内の酸素消費はミトコンドリアに依存し,マウスにおけるミトコンドリアゲノムは母系遺伝様式をとるとされる.本研究では,酸素消費量(OC)の高低2方向選抜マウス集団を対象に,母性効果を含むモデルを用いて分析を実施した.【方法】17世代にわたるマウス4,670匹の3週齢から8週齢までの各週齢時体重および8週齢以降のOCを対象に,①基礎集団内の由来雌の効果,②母性遺伝効果または③共通一腹環境効果を含む単形質アニマルモデルREML法により遺伝的パラメーターを推定した.母数効果には,性および系統×世代に加え,OCでは測定時日齢をとりあげた.【結果】モデル①による直接遺伝率および由来雌効果の表型分散に占める割合の推定値は,OCで0.38±0.03および0.03±0.02,各週齢時体重で0.46~0.51および0.01~0.02であり,ミトコンドリア遺伝の影響は小さいことが示唆された.モデル②およびモデル③を用いたとき,体重では週齢が進むと母性遺伝分散および共通一腹環境分散が減少する傾向にあり,8週齢時のそれらの表型分散に占める割合は0.27±0.04および0.20±0.02であった.OCの母性遺伝率および一腹共通環境分散の表型分散に占める割合は0.23±0.03および0.14±0.02と推定され,その要因として,体重に対する母の哺育能力や哺育時の環境による間接的な影響が考えられた.