The 125th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

Presentation information

口頭発表

[VIII-29-04_05] 形態・生理(VIII-午前)

Fri. Mar 29, 2019 9:30 AM - 9:50 AM 第VIII会場 (8号館8501講義室)

Chairman:Wataru Mizunoya(Kyushu University)

9:40 AM - 9:50 AM

[VIII29-05] 筋幹細胞の合成・分泌因子Netrin-1による速筋型筋線維の形成誘導

Suzuki Takahiro1, Mori Aika1, Hisaeda Kouga1, Nishi Yuriko1, Arimatsu Rio1, Kobayashi Ken1, Tatsumi Ryuichi2, Ojima Koichi3, Nishimura Takanori1 (1.Graduate School of Agrculture, Hokkaido Univ., 2.Graduate School of Agrculture, Kyushu Univ., 3.Division of Animal Products Research, NARO Institute of Livestock and Grassland Science)

【目的】骨格筋の筋線維型は食肉の質と関連する重要なファクターであるが,その制御機構は不明な点が多い.我々は,筋幹細胞(衛星細胞)が分化および融合して新生筋線維(筋管)を形成する過程で,多機能性の細胞外因子を合成・分泌することで,自律的に筋線維型を初期決定する新奇制御機構に着目している.本研究では,衛星細胞が合成するNetrin-1が筋管の筋線維型に与える影響について検証した.
【方法】まず,C57BL/6成熟雄マウスより単離した衛星細胞の初代培養系にてNetrin-1の発現パターンを調べた.次に,遅筋または速筋を由来とする衛星細胞のNetrin-1と受容体の発現量を比較した.さらに,衛星細胞の分化誘導時にNetrin-1特異的siRNAを用いたノックダウン条件下で筋管を形成させて,筋線維型ミオシン重鎖アイソフォームの発現変化を調べた.
【結果】衛星細胞におけるNetrin-1の発現量は,分化誘導開始直後に増加した.分化誘導後の速筋由来の衛星細胞では,遅筋由来よりもNetrin-1の発現量が有意に高かったが,受容体の発現量には差は認められなかった.Netrin-1の発現を抑制すると速筋型ミオシン重鎖の発現量は低下したが,遅筋型には変化は認められなかった.以上の結果より,速筋に由来する衛星細胞はNetrin-1を多量に合成して,自律的に速筋型の筋管を形成する制御機構を有すると考えられた.