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[VIII29-18] ヒツジにおけるD-アスパラギン酸投与が血中遊離脂肪酸濃度に与える影響
【目的】これまで生体内に存在するアミノ酸はすべてL型と考えられていたが,近年,D型も存在することが明らかとなっている.D型のなかでもD-アスパラギン酸(D-Asp)は血中や組織中に豊富に存在し,グルタミン酸受容体の一つであるNMDA受容体のアゴニストであることが報告されている.NMDA受容体の活性化は成長ホルモン(GH)分泌を促し,GHは脂質分解を誘導する.このことから,D-AspはGHを介した脂質分解作用を有している可能性がある.そこで本研究ではD-Asp投与が血中遊離脂肪酸濃度(NEFA)に与える影響について検討した.【方法】サフォーク種雌ヒツジを用いて,D-Aspを0.1,0.05あるいは0.01 mmol/BW kg/minで頸静脈内に10分間投与した.また,他のD型アミノ酸の効果を検討するためにD-ヒスチジン(D-His),さらにL型と比較するためにL-アスパラギン酸(L-Asp)を同様の濃度で投与した.採血は投与開始30分前から投与90分後までの計120分間を10分間隔で行った.【結果】D-Aspは濃度依存的に血中NEFA濃度を上昇させる傾向が見られた.一方,D-HisおよびL-Asp投与による血中NEFA濃度の上昇は見られなかった.また,D-Asp投与による血中グルコース濃度の上昇は見られなかった.以上の結果より,D-Aspは脂質分解作用を有していることが示唆された.