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[VIII29-25] ウシ乳腺上皮細胞を用いたin vitro乳分泌モデルの作製とその有用性の検討
【目的】凍結保存したウシ乳腺由来の初代乳腺上皮細胞を用い,乳分泌研究に適した培養モデルを作製する.【方法】乾乳牛から採取した乳腺を細切した後,コラゲナーゼ処理などにより乳腺上皮細胞塊を単離し,凍結保存した.解凍した乳腺上皮細胞塊をコラーゲンゲルで被膜したセルカルチャーインサート上へ播種した.コンフルエントまで培養後,脳下垂体抽出物 (BPE)とデキサメタゾン (Dex)を含む培地へ交換し,乳分泌能およびタイトジャンクション (TJ)形成に及ぼす影響を評価した.続いて,リポ多糖を添加し,作製した培養モデルの有用性を検討した.【結果】TJ構成タンパク質の発現量を調べたところ,未処理群と比べてDex処理群ではクローディン-1,-3が増加し,BPE処理群ではクローディン-1が減少していた.また,TJバリア機能を経上皮電気抵抗値により評価したところ,Dex処理群では未処理群より大きな値を示していた.乳産生への影響として細胞内β-カゼイン量を調べたところ,Dex処理群およびBPE処理群の両方でβ-カゼイン産生が認められた.また,培地中の乳糖濃度を測定したところ,BPE存在下では乳糖の分泌が確認された.なお,リポ多糖添加によって経上皮電気抵抗値や乳産生への影響が観察された.以上より,本研究で作製したBPEとDexで分化誘導を行う培養モデルはin vitroの乳分泌研究に適していると考えられた.