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[XIV29-20] 鶏骨格筋パラトロポミオシン構成サブユニットによる合成アクトミオシンATPase活性阻害
【目的】筋原線維タンパク質パラトロポミオシン(PTM)は死後筋肉でアクチン-ミオシン間の硬直結合を脆弱にし,熟成中の食肉軟化に寄与する.しかし脆弱化の詳細なメカニズムは明らかでない.またPTMは調節タンパク質であるトロポミオシン(TM)に構造が類似しているが,一部のアミノ酸の相違を見出している.本研究では,PTMとTMの構造的相違の側面からPTMの硬直結合脆弱化のメカニズム解明を目的としている.【方法】鶏胸筋からアクチンとミオシンを精製し,合成アクトミオシンを調製した.また調製したPTMとTMをHPLCで精製した.アセチル化を模倣するMet-Ala-SerをN末端に付加したTMαとその281番目のMetをLysまたはGluに変異させた組換えタンパク質を調製した.それらのタンパク質の合成アクトミオシンATPase活性に及ぼす影響をFiske-Subbarow法で測定した.【結果】鶏骨格筋由来のTM添加ではATPase活性に影響しなかったのに対して,PTMでは添加量の増加に伴い活性が低下した.特にアクチンに対するモル比で0.1のPTM添加ではTM添加に対して有意に活性が低下した.一方,組換えTMαとそのM281KおよびM281E変異体のそれぞれの存在下では,M281K変異体の添加量増加に伴いATPase活性が低下した.PTM特有のLys残基が硬直結合脆弱化に寄与することが示唆された.