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[XIV29-25] 食肉の「こく」の意味に類似する味覚表現用語の整理
【目的】食肉の官能特性を表す際にたびたび用いられる用語に「こく」がある.「こく」は『味覚,嗅覚および食感による多数の刺激によりもたらされる「複雑さ」「持続性」および「広がり」によって知覚される感覚』という食品に共通する定義が提案されているが(西村と江草 2016),食品によって「複雑さ」等を構成する感覚は異なると考えられる.食肉において「こく」を構成する感覚要素を客観的に研究した事例はないことから,本研究では食肉の「こく」を客観的に評価するための第一段階として「こく」の意味に類似する味覚表現用語を整理することを目的とした.【方法】文献より54種の味覚表現用語を収集し,分析型官能評価パネリスト14名に全用語間の類似性を判定させ,各用語間で類似していると判定した人数を用語の組み合わせごとに積算した.これをもとに類似度行列を作成してコレスポンデンス分析に供し,各用語のコレスポンデンス得点を各用語の座標とした.得られた座標データをクラスター解析に供し,用語の類似度を解析した.【結果】特に類似度の高い用語については統合し,54種の候補用語を統合された11語と統合されなかった27語,計38語に整理した.「こくのある」に対する類似度は「厚みのある味」,「後味」,「濃厚」および「まったり」,「うま味」,「脂肪味」および「しつこい」の順に高く,「こく」の意味に類似する味覚表現用語が整理された.