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[I-19-10] 乳牛の分娩後における負のエネルギーバランスと血中MDA、 GPxおよびPAO値の変化
【背景】乳牛の分娩後における負のエネルギーバランスと酸化ストレスおよび相関関係を明らかにする目的で,血中成分とマロンジアルデヒド(MDA),グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)および潜在性抗酸化能(PAO)の変化を検討した.【材料と方法】健康な経産乳牛11頭を供試し,分娩後8週まで乳量と乳成分を測定,分娩前3週,分娩当日,分娩後2,4および6週に採血して血中Glu,NEFA,T-KB,CaおよびiPとMDA,GPxおよびPAOを測定した.各測定項目の分娩前後の差はWilcoxon signed-rank test,相互関係はPearsonの積率相関とSpearmanの順位相関により検討した.【結果と考察】分娩前3週に比較して,Gluは分娩後2週と4週に有意な低値,NEFAは分娩日と分娩後2週,4週に有意な高値を示し,MDAは分娩後2週と4週に有意な低値,PAOは分娩後6週に高値傾向を示した.MDAとNEFAの間に有意な負の相関,PAOとT-KBの間に正の相関傾向,CaやiPの間に有意な負の相関が,また,GPxとCaの間に正の相関傾向が認められた.MDA,GPxおよびPAOと乳量や乳成分との間に有意な相関はみられなかった.以上のことから,分娩後における抗酸化能の上昇は,エネルギー不足による血中T-KB値の上昇と関連のあることが示唆された.