The 126th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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口頭発表

2. 遺伝・育種

遺伝・育種

Thu. Sep 19, 2019 9:30 AM - 10:50 AM 第III会場 (2番講義室)

座長:佐々木 修(農研機構畜産部門)、美川 智(農研機構畜産部門)

10:20 AM - 10:30 AM

[III-19-06] 牛白血病ウイルス感染率低減のための検査実施状況

*朝治 桜子1、奥平 裕子1、桝屋 安里1、浅見 啓子1、安藤 麻子1、間 陽子2、猪子 英俊1 (1. ジェノダイブファーマ、2. 理研)

【背景目的】牛白血病ウイルス(BLV)感染牛は,5〜10年の潜伏期間を経て数%が,牛白血病(EBL)を発症する.EBLは有効な治療法のない感染症であり,未発症牛においても免疫機能の低下から感染症罹患率の上昇,産乳・産肉及び繁殖能力の低下が指摘されていることから,BLV感染は大きな経済的損失をもたらす.
昨年より受託検査を開始したBLV抵抗性・感受性診断のためのSBT法によるBoLA-DRB3タイピング及びBLV遺伝子定量法であるBLV-CoCoMo-qPCR法の結果に基づき,全国のDRB3アレルとBLVプロウイルス量との関連について現況を調査した.【材料方法】585頭のDRB3アレルタイピングを行い,抵抗性アレル保有牛についてはBLVプロウイルス量定量を行った.その結果よりDRB3アレルとBLVプロウイルス量との関連解析を行った.【結果考察】585頭中,BLV感受性アレルを持つ牛が37%に上り,多く飼育されていることが確認された.さらに,抵抗性アレルを持つ105頭の関連解析の結果,抵抗性アレルと規定されているアレルであってもウイルス伝搬抑制能に差があることが改めて示唆された.
本邦には現在3842千頭の牛が飼育されているが,タイピングや定量検査を行った牛は千頭にも満たない.検査情報をもとにBLV清浄化を実施すれば,農家の経済的損失の改善が図られ,安定した畜産経営に資することができる.