日本畜産学会第126回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

2019年9月18日(水) 09:30 〜 11:00 第III会場 (2番講義室)

座長:井上 慶一(家畜改良セ)、澤井 健(岩手大)、有原 圭三(北里大獣)、一條 俊浩(岩手大)

10:00 〜 10:15

[III-YS-03] ウシ精巣の体外培養におけるPDMS製カバーの有用性

*影山 恵理1、沼邊 孝2、種村 健太郎1、原 健士朗1 (1. 東北大院農、2. みやぎ農業振興公社)

【目的】雄牛の精子形成を体外で再現できれば,牛生産コストの削減が期待できるが,成功報告は無い.精巣培養では,培養片が球状に凝集し,中央部で精細管構造が崩壊する問題が生じる.この原因として,培養片の中央部までガス・栄養が届いていない可能性が考えられる.本研究では,培養片全体に均一にガス・栄養を届けることを狙い,PDMS製カバーを用いて培養片を盤状に成型した状態での培養の有用性を検証することを目的とした.【方法】材料として約5か月齢黒毛和種の去勢精巣を用いた.培地に半分浸したアガロースゲル上に1㎜角に細切した精巣をのせ,対照区ではそのまま培養,PDMSカバー使用区では深さがそれぞれ100,150,200㎛の円柱状のへこみのあるカバーを培養片の上からかぶせ,円盤状に成型して4週間培養した.培養後,PAS-H染色および免疫染色により,精細管構造維持および生殖細胞の存在密度を解析した.【結果】対象区と比較して,精細管構造が維持されている培養片の割合は,150㎛および200㎛のカバー使用区で向上する傾向が認められた.生殖細胞の存在密度は,150㎛および200㎛のカバー使用区において有意に高かった.以上の結果から,ウシ精巣体外培養での精細管構造と生殖細胞の維持率の向上にPDMSカバー(150~200μm)の有用性が示唆された.