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[III-YS-05] 炎症誘起因子シクロフィリンAの乳房炎誘起能の発見
【目的】乳房炎は乳頭孔より病原微生物が侵入することで起こる乳腺の炎症性疾患である.シクロフィリンAは炎症初期に細胞外に放出され,炎症誘起因子として作用することが報告されている.当研究室では,乳汁中の体細胞数とシクロフィリンA濃度に有意な相関があることを発見したが,シクロフィリンAと乳房炎発症の関連性は不明である.本研究では,組み換え牛シクロフィリンAを作成し,乳汁中に体細胞を誘導する乳房炎誘起能の有無を検証した.【方法】pal7ベクターを用いた大腸菌由来の組み換え牛シクロフィリンAを作製した.宮城県畜産試験場で飼養するホルスタイン牛雌より,PBS投与で乳汁中体細胞数の上昇が無いウシを選抜し,分房別に種々の濃度のシクロフィリンAを乳頭孔より投与した.投与4日前から2週間後まで乳汁中の体細胞数,好中球活性能(CL能)とシクロフィリンA濃度を測定した.【結果】2頭の牛において,シクロフィリンAに対する反応性が異なることが判明した.1頭は,2mg,10mg,100mgの投与分房濃度依存的に乳汁中の体細胞数とCL能が急上昇して異常値となった.他の1頭は,100μgの投与でのみ体細胞数・CL能が上昇したため,投与量を100mg,1mg,10mgに換えて投与を行ったところ,投与翌日から濃度依存的に乳汁中の体細胞数とCL能の増加が誘導された.